物事の一部や細部に気を取られて全体を見失うことを「木を見て森を見ず」と言うが、私は株式投資においてあえてこれを実践している。森を構成する木はそれぞれ異なっており、青々と葉が茂っている木もあれば朽ちて倒れそうな木もある。樹齢が古い木もあれば伸び盛りの若い木もある。深く根を張って強靭な木もあれば細くてしなやかな木もある。様々な木が集まって森を形成しているように株式市場も様々な企業によって構成されている。
ところが今やインデックス投資が普及し「森を見て木を見ず」の状態になっていて、全体をなんとなく見ているばかりで細かいことに気付いていないのではないかと思えるからだ。こういう状態だからこそ森の中の個々の木に注目することでチャンスを見つける可能性が生まれる。
内閣府が世界の中での日本の輸出シェアを品目別に分析したところ、電気機器だけでなく自動車も低下がみられたという。日本の製造業は競争力が低下しつつあり、今後もこの傾向が続くと多くの人は予想している。
確かに全体で見れば製造業の競争力は落ちていくのかもしれない。でもすべての製造業がみんな揃って沈んでいくわけではない。競争力を失い脱落していく企業は多くなるのかもしれないが、一方で強固な競争力を維持する企業も存在する。
私が「疾風に勁草を知る」という故事をこのブログで何度も使うのは、まさに困難な状況に直面しても強い競争力を持ち続ける企業を見つけることを目指しているからだ。
むろん全体が強くなることが望ましいけれど、現実はそうなっていない。
だからといって悲観一色になってしまうのもおかしいと思うのだ。