世の中で注目され、投資のテーマともなっているのが人工知能(AI)だ。これからAIが生活に溶け込んでくることはほぼ間違いない。その一方で、AIがもたらす脅威がその普及にブレーキをかけることもありうる。
いずれ訪れるであろうAI時代で必要とされるのは何だろう。
私は「問う力」ではないかと思う。あらゆることに対して「なぜ」「どうして」と問いかけ、同時にそれについて自分なりの回答を導き出す力だ。
AIは問われたことに対して答えてくれる。「なぜ」「どうして」の問いに対して参考となる回答をしてくれるのは確かだ。
だが、AIは自ら問いかけることはしない。
問いかけ、考えることができるのは人間だけだ。
だが、すべての人が考えているわけではない。
AIの回答は、膨大なデータの中から抽出して組み合わせて出来上がったものだ。だから解答が正しいとは限らない。
きっとAIの回答を鵜呑みにしてしまう人と、そこからまた考える人に分かれる。
すなわち、その回答についてさらに問いかけ考えられるかどうかだ。
世の中は正解のないことで溢れている。
正解のない問いをAIに問いかけたとしても、それなりの回答が返ってくるだろう。それが独り歩きして社会を動かすことになってしまうかもしれない。
AIが世の中を支配しているとするなら、それは人が考えることをしなくなった結果に違いない。
今、街中ではスマホの画面を見ながら歩いている人がかなりいる。
これは見方によってはすでにスマホに支配されているということではないのか。スマホの画面から目を離すことができなくなっている。スマホに支配されてもはや人ではなくなったゾンビが街中を徘徊していると思ったら、ちょっと背筋が寒くなる。
きっと「自分はスマホに支配されているのだろうか」などという問いを発することはないのだろう。
問いかけ、考えることができるのは人間だけだ。