岸田首相が「次元の異なる少子化対策」をするらしい。どうもこの人はこういう言葉遊びが多い。「新しい資本主義」もそうだが、なんとなく凄そうな形容詞をつけるけれど中身は何もなかったりする。
少子化対策がどれほど効果があるかはわからない。少子化の原因として各種アンケートなどからは経済的な理由や子育て環境が不十分ということが挙げられている。また、少子化以前にそもそも結婚しない人が増えていることもある。結婚しないのも経済的理由が大きいとされている。
でも本当にそうなのだろうか。
もちろん結婚したくてもできない人がいることは確かだ。その一方で、結婚したくない、結婚しようと思わない、あるいは結婚にそもそも関心がない人も増えているのはなぜか。
そこには「自分の時間」を確保しておきたいという心理があるのではないか。
現代は情報が溢れ、興味や関心の対象となるものが次から次へと押し寄せる。動画や音楽は選び放題だし、おいしいと評判の店はたくさんある。そういった情報を受け取り消化して行動に移すには時間が必要になる。だからタイパが重視され、動画は倍速で視聴したり、本も要約されたものを読んだりして時間を短縮し、「自分の時間」にできるだけ多く詰め込もうとする。
そうなれば「自分の時間」を奪っていくものからは遠ざかることになる。
結婚すれば共同で生活することになり「自分の時間」が侵食され、子供が生まれれば子育てで「自分の時間」が奪われる、と感じているからこそ結婚や子供を持つことへ心理的抵抗があるのではないか。家事の分担で男女のバトルが起きるのも「自分の時間」を確保したいからだ。
ただ、それを表立って公言することは憚れるから、経済的理由とか子育て環境の不備という無難な理由が表面に出てくるのではないか。
少子化は日本だけではなく先進国共通の課題で、さらに先日には中国も人口減少に転じたと報じられた。少子化は、経済が発展し成熟することで人々の選択肢が広がり、人々の「自分の時間」を確保したいという欲望が強くなるからなのかもしれない。
これを投資の観点からみると、「自分の時間」を確保したい欲望に働きかけるような企業が業績を伸ばしていくのではないかと考えてしまう。
いずれにしろ、「異次元の少子化対策」とやらがどんな効果を生み出すのか注目したいし、それによって恩恵を受ける企業についても調べたい。