ふるさと納税で駆け込み寄付が増えているらしい。
10月からふるさと納税にかかった経費の算定対象が拡大されるため、返礼品を受け取るのに必要な寄付額を引き上げる自治体が増えるからだ。ふるさと納税では返礼品の調達や送料、仲介サイトへの広告費などの経費がかかり、寄付額の半分近くを占めてしまい自治体の手元に残る金額は減ってしまう。それを是正する措置が10月から行われる。そこで少しでも得しようと駆け込みで寄付しているという。
私はふるさと納税を利用したことはない。
ふるさと納税はお得だということで人気だが、本当にそうなのだろうか。
ふるさと納税は、自治体に寄付をすると寄付額から2000円を差し引いた金額が所得税や住民税から控除される。そして、寄付の見返りに自治体から寄付額の最大3割までの返礼品が贈られ、2,000円以上の価値のある返礼品を受け取ればお得というわけだ。
一方、ふるさと納税をすれば本来自分の住んでいる自治体へ入るはずだった税収が減ることになる。そしてこの制度の構造では大都市から地方へと税金が移転する傾向になりやすい。実際、ふるさと納税によって2022年に税収が最も減少した自治体は横浜市で、その金額は230億円にもなる。私も東京に住んでおり、やはり税収が減少する影響を受けているらしい。
こうした税収減により、本来できるはずだった政策が実行できなくなり行政サービスが低下してしまうかもしれない。子育てや少子化対策・教育など将来にわたる様々な問題を解決するためのお金を流出させ、それを肉や魚に変えて食べてしまうことが本当にお得なのか。
お金の使い方には消費・浪費・投資、そして寄付がある。税金は強制的な寄付ともいえるが、投資の性質もある。
ふるさと納税は表面上は寄付だが、実質的に消費になってしまっている。しかも目先の得が前面に出てきて浪費に近い。必要なものを消費するわけでもなく、ただ得したいがための行動にすぎない。
投資家としての思考からすれば、将来へ種まきをすべきものを犠牲にして今の快楽を優先するお金の使い方は筋が悪い。