投資狂日記

自由を追求するブログ

忍び寄るインフレ税

今日から通常国会が召集され、防衛費をめぐる増税などが議論される。

 

増税に対して、国債発行で賄うべきとの主張もある。その根拠は、主権国家は貨幣を無制限に発行できるのだから、必要な財源は国債発行して調達すればいいというものだ。

 

国債発行なら国民への負担はないから政治家にとっては魅力的に映る。また、国民有権者増税を嫌うからそうした意見を支持したくなる。

 

だがうまい話には裏があるものだ。

 

国債を発行し続ければ貨幣も増えることになり、増加した貨幣はその価値が目減りしていく。つまりインフレになる。このインフレはお金の貸し手にとっては不都合だが借り手には好都合だ。

「政府の借金は国民の資産」と言われるが、インフレによって借金は実質的に軽減されるのに対し資産の価値は目減りすることになる。インフレは政府の利益となり国民の損失となるのでインフレ税とも呼ばれる。

日本では金融緩和が続いているが、インフレが進んでも金利を上げずに放置すればインフレ税として国民から政府に購買力が移転していくことになる。

 

増税を嫌って国債発行に依存したとしてもいずれインフレによって国民にしわ寄せがくる。民主主義国家では、有権者増税を嫌い、その有権者の支持を受けたい政治家も増税を避けようとする結果、国債発行のインセンティブが働く。それがたびたび酷いインフレを招いてきた歴史があるからこそ、政府の借金に歯止めをかける制度がつくられてきた。

日本では気付けば政府の債務は積み上がり、さらにその歯止めをも実質的に外そうとすらしている。

 

そういう背景があることを考えもせずに、どうして「国債はいくら発行しても日本は潰れない」と能天気なことを平然と言えるのだろう。都合がいいことばかり頭に思い浮かべるのは自由だが、現実は都合よくできているとは限らない。

 

残念ながらフリーランチはない。

そして投資にとってインフレは大敵だ。

逆にいえば、インフレに対抗するため投資することが必要なのだ。