日経電子版にナシーム・ニコラス・タレブ氏へのインタビュー記事が掲載されていた。
タレブ氏はその著書で、想定外の出来事が社会や金融市場を揺さぶる事象を「ブラックスワン」と呼んだ。
タレブ氏はインタビューで、トランプ大統領こそがブラックスワンそのものだと指摘した。トランプ氏の第1次政権時は常識的な行動に収まっていたが、今回はまったく違うという。関税政策やグリーンランド取得主張など予測不可能な事態が次々に発生し、そして現在の戦争に突き進む姿勢も全くの予想外だとしている。
こうした予測不能の行動が米国への信認、とくに基軸通貨ドルへの信認が揺らぐとみているようだ。中国は保有資産をドル建てから金(ゴールド)へ移し始め、インドも米国からの関税拡大などの政治的圧力を受けてドル建て資産の売却に動いた。ドルに代わる国際通貨が存在せず、金がその役割を果たしているというわけだ。
想定外の結果をもたらすリスクへどう対処すべきか、との問いにタレブ氏はこう答えている。
「自分が理解していない分野には投資しないこと。例えばパン屋を経営しているなら、事業を正しく運営していることに注意を向ける。他人の金もうけに無知に手を出すのではなく、自身の専門性に集中すべきだ。」
ブラックスワンは専門家の予測の外側からやってくる。だから予測に依存しているとブラックスワンという想定外の衝撃に弱くなってしまう。
これからもブラックスワンはやってくる。特にAIが何をもたらすか様々な予測がされているが、そんな予測をあざ笑うような出来事がきっと起きるのだろう。