投資狂日記

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インフラ企業の収益安定性と突発的巨額損失リスク

KDDIが大規模な通信障害を起こした。私の母はKDDIの携帯電話を利用していて、突如つながらなくなったために故障したと思ったらしく固定電話で私に連絡してきた。その時点で私はネットなどでKDDIの通信障害が発生していることを把握していたが、私の母はそれをすぐに知る手段がない。なので私は母に通信障害だから待つしかないと伝え、テレビのニュースをよく観るように言った。

今回のような大規模な通信障害が起きると思わぬ事態になって命にかかわることにもなりかねない。インフラに関わる企業にかかる責任は重い。

 

インフラ企業というのは社会に必要不可欠なものを継続提供しているので、収益の安定性に優れている。実際、通信や電力、ガスといった業種は安定した業績で高配当企業も多い。

一方、インフラ企業は自然災害や事故などによって巨額損失を被るリスクも抱えている。東日本大震災原発事故によって東京電力が壊滅的なダメージを受けたのは典型的な例だ。

 

高い確率で安定的な収益を得られる一方で、低確率だがとてつもない損失を受けることがあることで、インフラ企業はオプション取引の売りに似ているかもしれない。

 

オプション取引ショートストラングルという戦略がある。コールオプションプットオプションを同時に売る戦略で、売ったオプション料を高い確率で手に入れられるが、あてが外れると損失が無限大に広がる可能性がある。

例えば、日経平均株価が26,000円だとして、オプションの期限が1か月後の権利行使価格27,000のコールオプションと25,000円のプットオプションを売ったとする。1か月後に日経平均株価が25,000円と27,000円の間で収まっていれば売ったオプション料がまるまる手に入る。ショートストラングルは、一定の範囲内に株価の変動が収まることを想定した投資戦略だ。だが、1か月後に想定外の大暴騰ないし大暴落が起きて25,000円より大幅下落したり27,000円より大幅上昇して着地した場合は、手にしたオプション料をはるかに超える大きな損失になる可能性があるのだ。

 

何も起きない日常が大半なこともあり、ショートストラングル戦略は大抵うまくいってしまう。ただ、それを続けているといつかは「まさか」という事態に遭遇し、巨額損失を被ることになる。そしてその時すべてを失い再起不能になることすらありえるのだ。

ショートストラングル戦略は何も起きない限り安定的な収益が得られるのでいつの間にか安心してしまう。そこに大きな落とし穴が潜んでいる。

 

今回のKDDIも大規模障害を起こしたことで業績に結構なダメージを受けるかもしれない。損害をどう補償するのかという話も出てきている。KDDIは高配当企業で投資家にも人気があるが、インフラ企業には安定収益の裏に突発的な巨額損失リスクが潜んでいることを気に留めておきたい。