損をすることは誰でも嫌なものだ。
そして投資はしばしば損することがある。だから投資をためらう。
投資して実際に損するとそれに懲りてやめてしまう。
商売では「損して得取れ」と言われる。
一時的にはむしろ損を覚悟し、長い目でみて得を取れ、ということだ。
会計の世界では、「費用」と「損失」は明確に分けられている。
ざっくり言えば、「費用」は売上に貢献したものであり、「損失」は売上に貢献しなかったものだ。
売上という収益を上げるには費用がかかる。そして時には売上に貢献しない損失が発生する。そうしたなかで利益を生み出そうとするのだ。
だが、「損失」が売上に貢献しないというのは、”その時”の売上に貢献しないというだけだ。長い目で見れば将来の収益獲得に必要なのかもしれないし、その因果関係が不明だから便宜上その時の「損失」としているだけかもしれないのだ。
例えば、リストラのための割増退職金を特別損失に計上するのは、その時の売上獲得には貢献しないが、リストラによってその後に企業が立ち直り再生するとなれば必ずしも「損失」とは言えなくなる。
「損して得取れ」というのはまさにこういうことだ。
投資も同じではないだろうか。
リスクがある以上、損失は必ず発生する。その損失をどう捉えるか。
損失ではなく収益を得るための必要な費用と捉えると見方が変わってくるのではないか。
収益を獲得するには費用がかかる。
投資においてリスクは費用でもあるのだ。
だがそれを損失と捉えてしまうとその場限りで終わってしまう。
損して得を取るには継続しなければならない。
継続することによって損失をただの損失にするのではなく、将来の収益を得るための費用になるように行動すればいい。
そうすればいたずらに損を怖がることもなくなるだろう。