新型コロナウイルスの影響により企業の業績見通しがはっきりしないことで、株価水準の割安・割高が判別しにくくなっている。そんな状況なので配当についても未定であることが多い。
業績見通しも大事なのだが、配当の増減というのも企業からのかなり重要なメッセージと考えている。
配当を増やしたり減らしたりするのは当然ながら元となる利益水準が重要となる。利益が増えれば増配の可能性が増えるし、利益が減れば減配の可能性が増える。配当はキャッシュの支出が必要なので資金繰りにも大きな影響があり、経営陣が利益に自信がないと増配というのはなかなかできない。だから増配というのは経営陣がかなり強い自信を持っている姿勢だと判断できる。逆に減配を表明するということはそれだけ利益に自信がないということだ。
例えば、丸紅は今期配当を約6割減とする方向らしい。利益が思うように上がらず、財務的に守りを重視するとのことで、経営陣のかなり慎重な姿勢を表している。新型コロナウイルスの影響でどれくらい業績が落ちるかわからないということもあるが、財務的な弱さを経営陣は懸念しているのだろう。
財務体質が弱い企業はやはり減配しやすい一方、財務体質が強固な企業はこの状況下でもなんとか踏ん張れる可能性がある。
これから3月期決算の発表が本格化する。ここで業績見通しのみならず、配当の動向にも注目したい。ただ、配当も未定であるところがほとんどだろうが・・・。
それでも配当の増減をみれば、経営陣の自信が垣間見えると思う。この決算でなくともその後の情報開示には注目していきたい。