日産のカルロス・ゴーン元会長の事件はまだまだ続きそうだが、ここ最近は経営陣のトラブルが目立っているように感じる。過去に経営陣がゴタゴタした企業を列挙してみると、
クックパッド
大塚家具
セブン&アイ・ホールディングス
出光興産
三越伊勢丹ホールディングス
LIXILグループ
デサント
日産自動車
等々が思いつくが、この他にもきっとあるだろう。ゴタゴタする理由は様々だが、こうした企業の株価は長期的にみると冴えないようだ。
経営陣が揉めるということは事業の方向性が定まっておらず迷走することにつながり、それが業績や株価に跳ね返る。だからこうした企業へ投資することは慎重になる。組織が弱体化するのは外部の要因ではなくて内部からというのが多い。内部でじわじわ弱体化が始まっているが表面化せずに進行し、何らかの外部要因によってその弱体化が表に出てくる。
だから今のところは問題がないようにみえても、実は内部から弱体化していることは十分ありうる。外からはうかがい知ることができないので、投資する側からみればかなり厄介だ。
こうした危険性は、いわゆるカリスマ経営者が存在する企業でその交代時期に大きくなる。カリスマ経営者が偉大すぎて後継者へのバトンタッチがうまくいかなかったりすると、後継者争いが発生したり、カリスマ経営者が院政によって影響力を残そうとしたりするかもしれない。日産のゴーン元会長が公表した動画では「陰謀」を訴えており、実際に経営陣の中で権謀術数がうごめいていてもおかしくない。
野次馬的にみればこうした陰謀論とかは面白おかしく見物できるが、投資家の立場からすれば迷惑この上ないだろう。日産の臨時株主総会に出席した株主もこうしたゴタゴタについて冷めた目でみているようだ。
カリスマ経営者の存在というのは諸刃の剣なのだ。カリスマが健在なうちは目覚ましい成果を上げるが、それが永遠に続くわけでもなく、いつかは後継者に引き継がなくてはならない。その引継ぎがどうしてもリスク要因となってしまう。
そういうリスクを意識して、これまでカリスマ経営者がいる企業の株はほとんど買っていない。買ったとしても後継者問題が表面化するまでには売ってしまうだろう。
揉め事が起きそうなところには近付かないというのは、日常生活のみならず投資でも当てはまる。