今日、ロゼッタ株がストップ高となった。前期の赤字から黒字に転換し、今後の業績も伸びるということが評価されたようだ。
だが、株価が上昇したからといってその企業の「価値」も”同じように”上昇しているといえるのか、いつも疑問に思っている。企業の価値は決算発表後に突如増減するのではなく、日々の事業活動によって徐々に変化するものではないか、と。
前にも同じようなことを言ったが、「価格」と「価値」は違う。価格は客観的であり、価値は主観的なものだ。だから「価格」と「価値」は一致していることもあるしそうでないときもありうる。人々は自分が思う「価値」を「価格」として市場に提示し、売り手と買い手が均衡したところが”適正な価格”とされている。そしてその価格はどうやら企業の価値を表しているらしい。本当に?
自分の思っているその企業の「価値」と市場での「適正な価格」、そしてその企業の「真の価値」がある。投資するにあたっては、その企業の価値が将来どうなるかを考える。重要なのは今現在ではなく将来であることだ。その企業の価値が将来増えると思うならば投資の対象となり、その増加が大きいと思えればなおさらいい。
だがそれは所詮自分の主観でしかない。企業の将来の「真の価値」なんて本当は誰もわからない。わからないから推定するしかない。それを推定するために企業の業績を見るのだ。
企業が毎期毎期レンガを積むように利益を順調に積み上げていくのならば、おのずと企業の価値は高まっていく。利益が積み上がることで純資産が増加していき1株の価値も増加するからだ。だから利益というレンガを積み上げることができる企業であれば将来の価値は増加しているはずと推定できる。そして現在から将来への価値の増加が十分に大きいと推定できてはじめて投資という行動に出るのだ。
では市場の価格はどう動いていくのか。価格は市場に参加する人々の思惑によって揺れ動く。時には楽観的で有頂天になり、またある時には絶望の底に沈んだりする。「価格」という客観的な姿ではあるが、それは人々の思う主観的な「価値」が価格として集まっているからだ。一方、企業の価値というのは、それこそレンガのように積み上がっていくイメージだ。時には暴風雨などで崩れることもあるが、力のある企業は着実にレンガを積み上げていく。
そして将来へ向けて「価格」と「価値」は違う経路を辿っていくものの、将来の到達点はほぼ同じになるのではないかと思っている。現時点で「価格」と「価値」は一致している保証はないが、将来に向けて違う経路でおおむね同じ方向へと向かっていく。だが他人の主観である「価格」を追い求めるのは疲れるので、ひたすら企業の真の価値について考えるのだ。
突き詰めれば、投資というのは将来に賭けるということだ。将来なんてわからない。だけどなんとか合理的に考えて将来に賭ける。インデックス投資だって「経済が成長するはずだ」という不確実な将来に賭けていることに変わりはない。これまで経済は成長してきたから今後もそうであるはずと考えているからこそ、その成長の果実を採ろうとしているのだ。個別株投資はその企業の不確実な将来に賭けるのであって、そういう意味でインデックス投資だろうが個別株投資であろうが同じではないか、と私は思っている。
ということでロゼッタ株にも人々のあらゆる主観的価値が集まっている。だが見つめるべきは企業の真の価値で、不確実な将来に向かって利益というレンガが積み上がるかどうかを観察していく。そして将来に対して明るい展望を持ち続けられるかどうか。
明るい展望がなかったら投資なんてできないのだ。