ニデックの不適切会計問題が波紋を広げている。
6月に有価証券報告書の提出期限について延長申請しており、先日ようやく提出した。だが、ニデックを監査するPwCジャパンは、十分な監査証拠が得られなかったとして有報の適正性について「意見不表明」とした。要するに提出された有報が適正かどうか判断できないということだ。
監査意見で「意見不表明」は異例だ。
通常、ほとんどは「無限定適正意見」が表明される。財務諸表は適正に表示されていると監査法人がお墨付きを与えるわけだ。たまに会社側と監査人とで見解の相違がある場合に「限定付き適正意見」が表明されることがある。それでも限定された一部を除けばほぼ問題ないとされる。
もし「不適正意見」が表明されたらもはやその会社の死亡宣告に等しい。この意見が出されるということは、財務諸表には虚偽記載があり信用できないということであり、会社の信用は地に落ちるからだ。だから通常はこの意見が表明される前に会社側は修正し、適正意見を出してもらうようにするわけだ。だから「不適正意見」はほとんどない。
「意見不表明」もまれだがちょっと異なる。適正か不適正かを判断する以前の問題ということだ。監査意見を表明するには十分かつ適切な証拠が必要であり、それが入手できなければ意見表明の合理的な根拠が得られない。つまりは適正かどうかの判断根拠が十分でないので意見を表明できないということだ。なので根拠がある「不適正意見」とは性質が違うわけだ。
ただ財務諸表を利用する投資家からすれば、適正か不適正かわからないのなら安全策として利用しないことを選ぶのがほとんどだろう。
そしてなぜこのようなことが起きたのかが気になるところだ。
ニデックのカリスマ経営者である永守氏は不正に直接関与するような人物ではないと思うが、彼の強力なリーダーシップによって周りの人間がプレッシャーを受け不正に手を染めざるを得ない状況に追い込まれた可能性はあるのではないか。
ここまでニデックを育て上げたカリスマ経営者も不適切会計によって晩節を汚すことになるのか。今後の動向に注目したい。