東証グロース市場に昨年10月に上場したばかりのオルツが民事再生法を申請した。不正会計をしていたことが明るみになっていて、売上の9割は架空だったという。
なぜこうした不正が行われたのか。
むろん、不正が見抜けなかった体制にも問題がある。だが徹底的に工作されると、時間とコストの制約によって見つけるのも困難になる。
このオルツという企業は上場することそのものが目的だったのではないか。そしてそれに薄々気付いていたにもかかわらずベンチャーキャピタルや主幹事の証券会社もそれに乗っかった。
監査法人は当初大手だったらしく、その監査法人は循環取引を指摘していたという。だがその後監査契約を打ち切っている。オルツは別の小さな監査法人と契約したのち上場に至っている。
おそらく当初の大手監査法人は循環取引の実態からヤバい企業と判断して手を切ったのではなかろうか。監査を通じて経営者の人間性に問題があると感じたのかもしれない。
それでもオルツは上場へ突き進み、実際に上場してしまった。
オルツの役員や従業員には大量のストックオプションが付与されていたらしく、上場によって多額の利益を得た可能性がある。ベンチャーキャピタルも実態を知っていて株式を売り抜けたのであれば悪質だ。主幹事証券会社も実態を把握せず形式的なルールに従って判断して見て見ぬふりだったのかもしれない。
結局、上場によって投資家から資金が吸い取られ、上場ゴールという目的は達成されたわけだ。目的が達成された以上、存続する意義はなくなり、成れの果ては民事再生法申請でサヨナラというわけだ。もはやこういう企業やその経営者は投資家を騙す詐欺師に等しい。
東証グロース市場にはこうした企業がまだ紛れ込んでいるのではないのか。そしてまた新たな上場ゴール企業が上場してくるのではないか。
投資家は不正を起こしそうな企業を見抜くことができるのか。
以前にこんな記事を書いたことがある。
結局のところ不正の「匂い」は経営者から出ている。経営トップの人間性を見極めることこそが肝要なのだろう。