投資狂日記

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オルツ不正会計事件の内幕

不正会計の発覚により上場廃止になったオルツの元社長ら4人が金融商品取引法違反の容疑で逮捕された。

この事件について、今日の日経新聞電子版ではオルツの不正会計を内部告発していた人物へのインタビュー記事が記載されている。この記事への反響は大きいようで、現時点で日経電子版の記事アクセスランキングで1位となっている。

 

内部告発を行った人物は経営企画部長としてオルツに中途入社した。公認会計士の資格を持ち前職の監査法人では循環取引などの不正調査に携わっていたこともあって、入社まもなく架空の循環取引が行われていることに気付いたという。オルツの経営陣は循環取引の調査経験がある人物と知りながら採用したわけで、おそらくはその経験から逆に循環取引がばれないように装うことができると期待したのかもしれない。

 

そしてちょうど入社した時期は前任の監査法人オルツの監査人を辞任すると決めた直後だったらしく、この監査法人オルツ側に対して監査を降りる理由を説明した文書にはこう記載されていたという。

循環取引ではないことについての十分な監査証拠が入手できませんでした。」

遠回しな言い方だが、「あんたら循環取引やってるよね。」と言っているようなものだ。

実際に会計上の数値からいろいろ調べてみると明らかに不自然さが目に付いたという。

 

それで事態を監査役に報告したところ黙殺され、その後社長などへも進言したが受け入れられず退職したという。入社が2022年9月1日だったが退社は9月末で、たった1か月の在職にもかかわらずこれだけ調べ上げたのはさすが会計のプロであることをうかがわせる。

 

だがこうした行動はかなり勇気がいるはずだ。入社後わずかな期間で退職できたのは公認会計士という強力な資格を持っているからともいえる。会計のプロフェッショナルとしての矜持。もし、自分が同じような状況になったらどう行動するだろう。そもそも不正に気付く知識なり技量がないと話にならない。不正に気付かないままでいるのはある意味幸せなのかもしれないが、そうした組織にいることはいずれ何らかの代償を払うことになる。

 

オルツの元社長らは逮捕され罪を問われることになるが、何も知らなかったオルツの従業員や株主など巻き込まれた人々はどうにもやるせない気持ちだろう。