投資狂日記

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粉飾決算を見抜くのは難しい

ファンダメンタルを重視する投資家からすれば、決算数値などの信頼性は非常に重要になる。その信頼性を担保するために監査法人による監査証明があるわけだが、それでも粉飾決算というのはしばしば起きる。

 

先日もグレイステクノロジーで不正会計が発覚し、監理銘柄に指定された。上場廃止となる可能性もある。

グレイステクノロジーは決算数値の推移を見ると業績は右肩上がりで、一時はテレビCMも流れていたことから注目した投資家も多かったはずだ。だがその決算数値が粉飾されていたことが明らかになり株価は暴落した。粉飾は上場前から行われていたらしく、監査法人も見抜くことができなかったということになる。

監査法人も粉飾に手を貸していたなら話は別だが、グレイステクノロジーの監査は大手の新日本監査法人が担当しているからまずそんなことはない。

 

監査法人ですら見抜けない粉飾決算を、個人投資家が見抜くのはさらに困難だといっていい。だが、どういう粉飾が行われていたのかやその背景などを公開情報を使って探ってみるのは無駄ではないだろう。

 

グレイステクノロジーに設置された特別調査委員会によると、粉飾は主に

①架空売上を計上し、それに掛かる売掛金について役員が自己資金で仮装入金

②売上の前倒し計上

③架空外注費の計上

という形で行われたという。

架空売上を計上すると当然売上債権が計上され、その売掛債権が入金されないまま貸借対照表上に残っていると営業キャッシュフローに影響が出る。通常はそれによって異変に気付くことが多い。ところがグレイステクノロジーでは役員が自己資金で仮装入金しているからそのあたりを巧妙に隠そうとしたのだろう。

でも役員が自己資金を仮装入金していたのならば、その資金はどうやって準備したのか。特別調査委員会によると架空売上は直近では売上の約半分を占めているというからかなりの金額が必要になる。

そのからくりの謎を解くカギは2020年8月に提出された大量保有報告書にある。これによるとグレイステクノロジーの創業者である会長が保有株式を大量に売却している。粉飾によって表向きは好業績に見せかけていたから株価は高くなっており、かなりの売却益を得ていたと思われる。おそらくこの売却で得た資金を売掛金の仮装入金に使ったのではなかろうか。実際、2021年3月末の単体の貸借対照表を見ると売掛金が大幅に減少している。

この会長は2021年4月に亡くなっているが、その後に粉飾が表面化した。

 

粉飾が明らかになってからでも調べてみるといろいろ気付くものだ。こうしたことも勉強になる。

投資していなかったからよかったものの、もし投資していたらと思うとゾッとする。