今年に東京証券取引所で上場廃止する企業が94社と13年以降で最多となる見通しらしい。投資家による圧力が強まっていて、それが株式市場の新陳代謝を促している。ようやく本来あるべき姿に近づいているといえる。
株式市場から退出していくのは他社に買収される企業が多いが、自ら退出を選ぶ企業もある。自ら退出していく企業にはオーナー系企業が多く、退出していく理由としては「経営の自由度を高めるため」とされる。抜本的な構造改革実行の足かせになりかねないとか言うが、改革などは表向きで結局はオーナー一族がこれまで築き上げてきたものを食い潰し続けたいというのが本音なのだろう。
そういう企業にはどんどん株式市場から去っていってもらい、株主の期待に応えようとする企業が集まる株式市場になってほしいものだ。
ただ、一部のアクティビストなどが株主利益を重視しすぎて目先のことばかりになり、将来の成長の芽まで摘んでしまうおそれもある。
投資家側も「株主とは何か」という本質を考えないといけないのではないか。
でも、その株式を取得してすぐに売却した場合には、瞬間的には株主となるけど本来の株主とは異質なものではないのか。
企業の中身には関心がなくただ株価の動きだけを追いかける投資家が、瞬間的に株主になることにどんな意味があるのだろう。おそらく株主になるという意識は全くないはずだ。ただ株式の売買で儲けることだけだ。
株式市場には株主になることを意識している投資家とそうでない投資家が混在している。株主になることを意識していても、株主としての利益を短期間に求める投資家と長期的に利益をもたらすことを求める投資家に分かれる。この長期的な利益を求める投資家はおそらく少数派になってしまうのだろう。
長期的な利益を求めていても株主になるという意識が薄いインデックス投資家も増えている。株主になる意識が薄い投資家の増加は株式市場にどんな影響をもたらすことになるのだろう。
株式投資の最も合理的な投資法はインデックス投資とされるが、そこには株主になるという意識はほとんどない。そもそもそれで株式投資といえるのか。そこにどうしても矛盾を感じてしまう。