保有株の一つであるアンビスホールディングスに大きな動きがあった。
3月14日付でスタンダード市場からプライム市場へ上場区分変更をすると発表した。それと同時に株式の売り出しも発表し、これが当面の需給悪化を招くとの懸念から株価が大幅に下落した。
株式の売り出しというのは、その発表があった途端にほぼ株価の下落をもたらす。株式市場に流通する株式が増加するのだから株価が下がるのは当然といえば当然だ。また既存株主にとっては1株当たり利益の希薄化にもつながるからあまり歓迎されないものとされている。
でもそんなにマイナスなことなのか。
株式市場に上場しているのは株式発行によって資金調達するためだ。
企業がある事業を行おうとして「興味ある投資家はこの指とまれ」と呼びかけ、それに興味を持った投資家が集まり資金を投じるのが株式会社という仕組みだ。
だから本来なら株式発行にあたってその事業が魅力的なものかどうかが問われるべきなのだ。
今回、アンビスホールディングスが株式を売り出すのは上場区分を変更するにあたり流動性を確保する狙いがあるものの、むしろそれは副次的な目的であって、調達した資金を事業の成長に使うことこそ本当の狙いのはずだ。
アンビスホールディングスは順調に業績を伸ばしていて、その勢いはまだまだ続いていく。そうした成長性を反映して株価は上昇してきた。また株価が上昇しているからこそ株式発行ができるのだ。
むろん、株式発行以外にも資金調達方法はある。それでもあえて株式の発行を選んだのだとすれば、経営陣にはこれから株式を買ってくれる投資家の期待に応える覚悟があるということだ。そうであるなら既存株主にとっても長期的に見て悪い話とはならない。
そういえば私がアンビスホールディングスの株式を買ったのは、公募増資を発表して株価が下落した時だった。事業内容は興味深かったし、まさに「この指とまれ」の呼びかけに飛びついたのだ。それ以来、含み益は増え続けている。
今回の株式売り出しで株価は下落したものの、大きく崩れるほどではなかった。
その事業内容に興味を持つ投資家が増えている証だとしたら嬉しいことだ。
(2023.2.23補足訂正追加)
私の認識に誤りがあったので訂正いたします。
今回の株式売出しは、大株主が保有する株式の売出しのため会社の資金調達ではありませんでした。また、オーバーアロットメントによる株式売出しも主幹事証券会社が大株主から借入れた株式を売り出すものであることから増資ではありません。
このため、株式売出しの主目的は上場区分変更による流動性確保にあり、資金調達を主目的とする記述は誤りでした。