このブログの注目記事で興味深い現象がある。
読まれているのが以下の記事だ。
この記事はだいぶ昔のものだが、なぜ今になって注目記事となっているのかというと、アンビスホールディングス株が最近暴落していたからだ。ずっと昔の記事で現在の状況とはまったく違うのだが、株価暴落ということで読まれたのだろう。
アンビスホールディングス株は過去に保有していた。上場してそれほど時間は経っていなかったが、ユニークなビジネスモデルに惹かれ、成長力もあったので投資した。その思惑は的中して株価は上昇傾向を続け含み益が膨らんでいった。
そのまま長期保有するつもりだったが、ちょっと引っかかることが起きた。それはナンバー2とみられたCFO(最高財務責任者)が会社を去ったことだった。このCFOは公認会計士でもあり、おそらく株式上場のための管理体制の整備などに大きな貢献をしていたはずだと私は考えていた。そのCFOが去ったのはなぜなのか、という疑問が生じたのだ。むろん個人的な理由かもしれず、会計士として別の道を選択しただけかもしれない。だが、社内で何かが起きていて、それに嫌気がさして会社を去ったということもありうるわけだ。
その後は業績動向を一層気にするようになったが、業績はまだまだ成長していたので株は継続保有していた。でもその拡大スピードに社内体制が追い付いているのか懸念を持ち始めた。CFOが去った後、管理体制が変わってしまうことで綻びが生じる可能性を考えた。特に事業拡大に人材確保が追い付くのか不安に感じていた。
ちょうどそのころ株価はピークから下落していたものの、十分含み益があったので思い切って売却した。今思えば判断は適切だったといえる。
その後、アンビスホールディングスは業績にブレーキがかかり株価は急落した。会社四季報の記事などによれば、介護報酬改定による単価引き下げの影響が大きいらしいが、同時に現場の負担が大きく離職が増えていることがうかがえる。
おそらく、急激な事業拡大が現場の過大な負担を生み、離職者が増えているにもかかわらず拡大を続け、それがまた現場の負担増となるという悪循環に陥ったのだろう。これは成長企業の典型的な没落パターンだ。
そして何らかの不正が起きたりする。アンビスホールディングスも先月に診療報酬の不正請求があったのではないかという報道があった。これを受けて特別調査委員会を設置して調査することになったらしい。こうしたことも典型的だ。
アンビスホールディングスの現在の株価はピークから約9割近く下落してしまっている。もし保有し続けていたらと思うと背筋が寒くなる。成長株は気を付けないとこうした落とし穴に陥る可能性がある。株を長期保有することにこだわってはいけない。定点観測をしてチェックすることの重要性を再認識した。