今日から東証の新たな市場区分が始まった。
とはいえ従来の東証1部企業のほとんどがプライム市場へ移行したため、改革は骨抜きになったという厳しい評価がなされている。だからか新たに始まる高揚感といったものはあまり感じられない。
だが、この機会に「株式上場とは何か」ということをもう一度じっくり考えてみるべきだろう。
そもそも株式市場とは、資金を調達したい株式会社と資金を提供したい投資家をマッチングさせる場だ。企業は事業拡大への資金調達のため株式を発行し、その事業に興味を持った投資家が株式を買う。株式による資金調達は返済の義務がないためリスクが高いが、投資家を保護するために株式を発行する会社は健全であることが必要とされる。だからこそ株式市場に上場する企業は一定の基準をクリアしていなければならないわけだ。
そして株式市場に上場する一定基準をクリアしているということが、次第にその企業の信用力や従業員の採用に影響するようになっていった。すると上場することがゴールであり目的であるかのような企業すら現れる。
さらに新株発行による資金調達は株式価値の希薄化を伴うから既存株主に嫌われるようになり、むしろ自己株式の取得が歓迎されて株式市場から資金返還させるようになっている。
株式市場はその本来の役割を果たしていると言えるのだろうか。
上場企業は何のために上場しているのか。
上場企業は投資家の期待に応えているのか。
投資家は上場企業自体に興味がなく株価の変動にしか興味がないのか。
日本の株式市場はなんか冷めている。
それに対し米国の株式市場は活発に取引されている。GAFAに代表されるように新たな成長企業が次々に現れるからだ。日本の投資家の目が向いていくのも自然な流れかもしれない。
それでもこの市場再編が新陳代謝をもたらし、活性化することを期待したい。