参議院の選挙戦が始まった。
各党が公約を発表しているが、相変わらず目の前にある課題に真正面から取り組もうとせず、「できたらいいな」ぐらいの空疎な文言ばかりが目に付く。
消費税減税?
社会保障費の財源はどうするの?社会保障費も減らすの?それとも国債発行で賄うの?
金融の異次元緩和見直し?
金利上げられるの?国債の利払い大丈夫なの?そもそも低金利での国債発行を当てにしているんじゃないの?
脱原発・再生エネルギーへの転換?
いやいやその前にこの夏の電力どうすんの?節電のお願いすればいいと思ってんの?それで本当に乗り切れるの?
各党いろいろ言っているが、今後日本政府の財政状態についての認識の違いがいっそう鮮明になり、対立軸となるのではないかと思っている。
すなわち、節度ある健全財政派とMMTを支持するような積極財政派が激しく対立するようになる。これは自民党内でも割れているし、いずれ政局にも影響してくるかもしれない。そして野党のほとんどは選挙目当てもあって財源に無頓着なので必然的に積極財政へ傾きがちになる。今回の公約でも財源にはほとんど触れず、有権者に耳障りのいいことばかり列挙している。国民も痛みを味わうのは嫌だから都合の悪いことはとりあえず先送りしようとする。その結果が現在の膨れ上がった国債の残高として現れている。
今後、日本でもインフレが進む可能性が高い。積極財政派はインフレをコントロールできるものと考えているらしいが、机上の理論ではそうであっても実際にそうなるとは限らないのが現実だ。
蛇口を緩めるのは容易だが、締める際には四方八方から圧力がかかる。かつて高橋是清はそうしようとして凶弾に倒れ、その後日本はどうなったかを思い出すべきだろう。現在そういう役割を引き受けて、なおかつ様々な圧力をはねのけて実行できる人が果たしているだろうか。
都合のいい話などないと考えておいた方がいい。
そして、都合よく物事が進むと思っていた先に訪れる衝撃は計り知れないほど大きくなるものだから、それに備えておくことが肝心だと思う。