参議院の選挙戦が始まった。
自民・公明の与党は給付金支給を掲げ、対する野党は消費税減税を訴える。自民党の候補者でも消費税を減税すべきとする意見もあるらしく、党の公約と食い違ってでも有権者からの支持を得たいのだろう。
それにしてもなぜこれだけ消費税減税が叫ばれるのか。
これにはいわゆるインフレ税が関係しているのではないか。
インフレ税とは、インフレによってお金の価値が下がり、政府の借金の返済負担が実質的に軽くなる現象をいう。多額の借金を抱える政府からみれば、国民から政府へ購買力が移転していることになり、増税と同じような効果となるわけだ。
インフレに賃金の上昇が追い付かず、実質賃金は減り続けている。まさにインフレによって吸い取られているといっていい。
これだけ消費税減税が叫ばれるということは、それだけインフレ税の影響が大きいことの裏返しなのだろう。
では実際に消費税が減税されたとして、負担は軽減されるのだろうか。
短期的には負担が減るかもしれない。
だが社会保障費は増え続け、それを賄う財源をどうするか考えないといけない。増税できない、社会保険料を増やすこともできないとなるなら国債発行となる。国債発行なら国民への直接的負担はないから政治家にとっても魅力的だ。
こうして国債発行への依存度が加速していく。
金利上昇の圧力がかかるが、現在の日銀はなかなか利上げできない状態にある。
その先に待っているのは、さらに酷いインフレだ。
もはやこの流れを変えることはできないのではないかと思っている。
税金という目に見える明確な負担が減ったとしても、貨幣価値の減少によって生じる負担が増えていく。
インフレに対抗する手段をいろいろ考えておくことがますます重要になるだろう。そしてその手段を持っている人とそうでない人との格差が広がることになる。