昨日、カナミックネットワークがM&Aのための資金調達を発表した。
転換社債と新株予約権を同時に発行し、希薄化を弱めるための自己株式取得も実施するという。
転換社債は転換価格修正条項がついていたので一瞬嫌な印象を持った。かつて既存株主の犠牲のもとに資金調達するという悪例が頻発したこともあったからだ。だがカナミックが発表した内容によると、株式の希薄化に対してかなり気を配っているように思える。
転換社債は額面100に対し発行価格100.2のオーバーパー発行で利率は0%のゼロクーポン。そして当初転換価格は発行決議日終値と条件決定日終値いずれか高い方の135%となっている。発行決議日である7月15日の終値は615円、その135%で830.25円だから、少なくともこれくらいの転換価格になる。そして1.5年後に転換価格を修正できることとなっているが、その際は決議日の終値(615円)を下回ることはできないとされている。
さらにソフトコール条項というのがついていて、発行日から2年後に株価が一定期間転換価格の20%を上回っていた場合に発行体が社債を買い取る権利がある。これによって社債保有者は株式に転換するほうが合理的なので、半ば強制的に転換が進むことになる。
この社債はクレディ・スイス証券に割り当てられるようだが、株価が上がらないことには儲けが出ない。調達した資金はM&Aに使うようだが、まだ具体的な相手先は明らかにされていないからか今日の株価の反応は鈍い。
転換社債で20億円を即時に調達し、新株引受権によって将来的に30億円を調達することになるが、近いうちに使い道が明らかになるだろう。
はたしてその時、業績にどう影響し、株価はどう反応するか。
貴重な資金の無駄遣いとならないことを期待したい。