今週は重要なイベントを控えている。
米連邦準備理事会(FRB)は25〜26日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。欧州中央銀行(ECB)は27日に理事会があり、日銀も27〜28日に金融政策決定会合を開く。
さらに、8月になれば企業の決算発表が本格化するため、株価の動きも大きくなるかもしれない。
そこで、株価が動く要因について今一度考えておきたい。
株価は様々な要因によって上下するが、その株価を因数分解したらどうなるか。
株価を表現する数式はいくつかあるが、最もポピュラーなのは以下の数式だろう。
株価=1株当たり利益(EPS)×株価収益率(PER)
これをさらに分解する。
EPSについては以下のような数式が成立している。
EPS=1株当たり純資産(BPS)×自己資本利益率(ROE)
これを最初の数式に当てはめると、以下の数式のようになる。
この数式から、株価はBPS、ROE、PERの変化によって動くと考えられる。
BPSは利益が蓄積されることで増加する。そして純資産という明確な数字であり、このBPSが株価水準を決める根本といっていい。
ROEはBPSを増加させるエンジンともいえる。この数値が大きいほど利益増加のスピードが速くなり、それが株価にも影響する。
そして問題となるのがPERだ。BPSもROEも企業の財務的数字だが、PERは株式市場における数字でもあり性質が異なる。
このPERについては、以下のような数式が成立する。
PER=1/(期待収益率r-成長率g)
成長率gが高ければ分母の数字が小さくなるのでPERは高くなる。これは直感的にわかる。
では期待収益率rはどう考えるか。期待収益率が高いということは何を意味するのか。
これは利益の変動性が関係していると考えられる。すなわち、利益のブレが大きければ投資家は警戒せざるを得ないのでより多くのリターンを要求し期待収益率rが高くなる。逆に利益が安定していてその確度が高ければrは低くなる。rが高ければPERは低くなり、rが低ければPERは高くなる。
つまるところPERは利益の成長性と安定性によって決まるということだ。
例えば、半導体関連企業は成長性は高いがPERは低めであることが多い。これは市況に影響されて利益のブレが大きく安定性が低いことが影響してPERが低くなると考えられる。
投資する際は、この銘柄のPERはなぜこの水準なのか考えてみることが重要だ。
さらに過去におけるPERの推移を追いかけてみるのも役に立つ。成長性が衰えたのかそれとも安定性が崩れたのか。PERの推移を追いかけることで何かヒントが見つかるかもしれない。
このように企業の財務的数値と市場の数値の両面から株価を考えることで投資家としてのレベルが上がるに違いない。