投資狂日記

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孫氏はアームの企業価値を過小評価していたのか

半導体設計大手アームがナスダックに上場し話題になっている。

 

アームは半導体設計で高いシェアを持ち、スマートフォン向けでは9割を握っている。アームの設計図をもとに半導体メーカーが製品を作っているわけで、その影響力はかなり強いといっていい。そのアームを孫氏率いるソフトバンクグループ(SBG)が約3兆円で買収した。ITに半導体は不可欠で、その肝となる企業を手に入れるという孫氏の戦略眼はさすがに鋭い。

 

ところが、ロシアのウクライナ侵攻によって世界はインフレ傾向となり、世界中の中央銀行が利上げを進めたことでハイテク株に強烈な逆風が吹いた。これによってSBGのビジョンファンドも落ち込んでしまった。

苦境に陥ったSBGはアームをエヌビディアへ売却しようとした。売却額は約4兆円とされ、購入額の3兆円を上回り利益を手にすることができる。だが、これに当局や他の半導体メーカーが反発し、売却を断念せざるを得なくなった。

 

そしてハイテク株も復活したところで方針転換し今回のアーム上場となる。上場初日の時価総額は9兆円にまでなった。結果的にエヌビディアへ売却できなかったことが吉となったわけだ。上場で売却したのは保有しているうちの一部だけであり、今後は保有するアーム株を担保に資金調達するのだろう。

 

孫氏はアームの企業価値について過小評価していたとも考えられるのではないか。半導体の重要性を認識し、その半導体設計に関わっているアームという企業に目を付けたにもかかわらず、2016年の買収からたった4年しか経っていない2020年に売却しようとしたのだ。それだけハイテク株の下落による運用成績低迷が苦しかったのだろう。苦境に陥ると判断力も鈍るということなのだろうか。

 

アームの上場は、競争力のある企業の株式を簡単に手放してはいけないという好事例だと思う。そう考えると、やはりウォーレン・バフェットの凄みを再認識してしまう。