一昨日と昨日にわたってアンビスホールディングス株が急落した。
事前に何かしらの情報開示もなく、なぜ急落しているのかわからなかった。
不祥事でも起きたのであれば投資方針を見直さざるを得ないため身構えた。
株価が急落するケースはいくつかに分類できる。
まずは、決算発表などにより業績悪化が明らかになったとき。業績が良くても市場予想に届かなかったというだけで急落することもある。
次に、株式市場全体が急落する場合。個々の企業の要因とは一切関係なく、いわゆる全面安というやつだ。
そして、株式の需給に影響がある場合。例えば増資の発表によって株主利益の希薄化が懸念されたりして、市場に出回る株式数が急増することで株式の需給が緩んで急落する。
保有株が急落に見舞われたとき、手放すことを検討するのは業績悪化が明らかになったときのみだ。株式市場全体が急落した場合は一時的なショックということが多く、いずれ回復するため、早まって保有株を手放してしまうのはもったいない。ただ、市場全体が急落した原因によって将来業績に悪い影響が及ぶことが明らかなときは手放すことを検討する。また、株式の需給が緩んだ場合も基本はそのまま何もしないでいい。業績が順調であるならばその緩みも一時的なものでしばらくすれば回復するものだ。
これは見方を変えれば、急落した時は追加的な投資のチャンスと言い換えることもできる。
それで今回のアンビスホールディングス株の急落はどうなのか。
昨日、社長が保有する株式の一部を売却したことを発表した。これはスタンダード市場の上場維持基準を満たすことが目的だという。
業績悪化もしくは深刻な不祥事でなくて安心したが、今の時期に売却する必要があったのかどうかは疑問に残る。
そもそもスタンダードという市場区分にそれほどこだわる必要があるのだろうか。業績が順調に伸びていて、不祥事を起こさず健全な経営で信頼を積み上げ、適切な株主還元をしてくれさえすれば市場区分などどうでもいい。
突然に社長が保有株を売り出したら市場が困惑するのも当然だ。今回は流動性の向上ということだが、下手すれば疑心悪鬼を招き、投資家からの信頼を失いかねない。
アンビスホールディングス株の保有は継続するが、業績が順調なところの株価急落で注目されてしまうのは残念だ。