SBI証券と楽天証券が日本株の売買手数料を無料にすると発表した。
これはかなりインパクトがある。証券会社にとって売買手数料は重要な収入源である一方、投資家にとっては悩ましいコストでもある。
売買手数料が無料となれば、投資を始めやすくなり裾野が広がることにつながる。
また、来年から始まる新NISAに向けて新たな顧客獲得を狙いとしていることもあるのだろう。
でもよくよくみてみると、売買手数料を無料にするのは”日本株”についてだ。日本株の現物取引と信用取引の手数料をゼロにして顧客を集め、その後、外国株やFXへ誘導してその売買手数料で稼ぐということなのかもしれない。
また、インデックスファンドが普及し、それらはすでに販売手数料がゼロであることが当たり前のようになっている。そこから米国株など外国株の魅力が広がり、日本株の地位は相対的に低下しているといっていい。そういう日本株の現状からみて、手数料を無料としてもその影響は限定的と踏んだのかもしれない。
この無料化は証券業界と投資家共にそれぞれの思惑が交差することになる。
無料化を発表した2社に追随する証券会社があるのか。反響が想像以上に大きければ追随せざるを得なくなる可能性もあるし、それができないとなれば業界再編へと向かうことになるかもしれない。
投資家は日本株の売買を頻繁に行うようになるのだろうか。インデックスファンドが普及する流れに変化がみられるようになるのだろうか。
もっとも、株式の売買頻度が少ない長期投資家からすれば、売買手数料というのはあまり気にしていない。むろん、無料になることは喜ばしいが、だからといって売買回数を増やそうとは思わない。
”タダより高いものはない”
といわれる。
この無料化が何を意図としているのかじっくり考えてみることも必要なのではないかと思う。