投資狂日記

自由を追求するブログ

危険な兆候

日経新聞で企業の決算の記事を読むと、減益決算が目立つ。米中貿易摩擦や消費増税など景気減速の影響を受けていることが大きい。

そして減益を反映して配当にも影響が出てきている。高配当だった日産は、業績悪化に伴い減配することになった。同じく配当利回りの高いJTも連続増配が止まり、減配リスクが高まっている。

業績が悪くなり配当が減るというのは、株主還元が重要視される最近では企業にとってかなり痛いことだろう。

 

一方、この株主還元が行き過ぎている米国企業には危うさを感じる。

今日の日経新聞の記事によると、スタバなどは株主還元で債務超過になっているという。低金利で借金し、その資金で利益の額を上回る配当や自社株買いをしているという。

配当や自社株買いというのは本来稼いだ利益の範囲内でなされるべきものだ。利益という範囲を超えてなされるものは資本の払い戻しに過ぎない。日本で人気化した毎月分配型の投資信託が批判されるのは利益以上の分配を行って元本を棄損していたからだが、米国企業の株主還元も同じようなものだ。

このような過剰な株主還元が行われるのは株主からの要求というのもあるが、株主還元によって株価を吊り上げることが経営陣の報酬と連動していることも影響しているのだろう。

利益以上の株主還元を行ってもキャッシュフローに問題がなければ債務超過であっても借金返済を懸念することはないと考えているようだが、これこそが危険な兆候ではないかと思っている。

再びリーマン・ショックのようなことが起こり金利が急上昇する事態になれば、一気に資金繰りが行き詰まり盛大に吹っ飛ぶことになるかもしれない。

 

米国の株式市場は史上最高値を更新しているが、こうした危うい土台の上に成立している。このことは頭の片隅に入れておく必要があると思っている。