日進工具が株主優待の拡充を発表した。これまでは100株以上の保有者に対し1,000円のクオカードを配布していた。それが、3年以上保有すると2,000円のクオカードとなり、長期保有者を優遇する内容となっている。
長期保有者に対して株主優待を優遇する動きは広まっている。本来、株主還元策としては配当や自社株買いであるべきだと思っているが、株式の長期保有を促すような株主優待はそれなりに合理性がある。
だが、企業が長期的に株式を保有してもらいたい
ならば利益を出し続け、株価が上昇するような経営をしていなければ意味がない。株主優待はあくまでオマケにすぎず、長期保有を優遇さえしていれば長期保有の株主が増えると企業が高をくくっているようなら、かえって株主には長期的にみて得策だとはいえない。
日進工具は最近になって株主優待制度を導入し、今回さらに拡充策をとった。ジャスダックから東証2部そして1部へと移るに従いIRも積極的になってきていて、株主を重視する姿勢が鮮明になっている。
2019年3月期と2020年3月期は業績が厳しい状況になりそうだが、株主をつなぎ留めたいのならしっかり業績を出す必要がある。もし今回の株主優待拡充が業績悪化を見込んだうえで株主をつなぎ留めるための小手先の策だとしたら、株主としては警戒しないといけない。