投資狂日記

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株主還元策としての自社株買いにみる巧拙

株主への還元策としては配当と共に自社株買いがある。

先日、保有株の一つであるエーアイテイーが「自己株式取得状況に関するお知らせ」をリリースした。エーアイテイーは配当利回りが高いが、それに加えて自社株買いを実施いていることから株主還元に積極的といえる。

 

自社株買いによって発行済み株式数が減少することで1株当たり利益が大きくなり株価を押し上げる。配当はキャッシュで直接的に株主に還元するのに対し、自社株買いは間接的に株主に還元していることになる。

 

確かに自社株買いは株主還元策なのではあるが、ではそれが本当に株主の利益につながっているかどうかはしっかり検証しないといけない。

自社株を買うということは、自社の株を買うことが合理的と判断した結果でなければならない。つまり市場で評価されている自社の株価が割安になっているということだ。自社の株価が実力を反映しておらず低く評価されていると判断するのであれば、自社株を買うことで将来的に会社自身とともに株主の利益にもなる。自社株買いが効果的なのはこうした場合だ。配当もそうだが、自社株買いも自社の将来に自信があってこそ意味がある。

 

だが、やみくもに自社株買いをしたらどうなるか。米国企業は自社株買いがブームのように盛んで、借金した資金で自社株買いを行うことすらある。株主還元をアピールし、株価を押し上げようとする意図が見え隠れする。だが肝心の事業の利益が伸びなければ嵩上げされた株価を維持することはできないだろう。利益の還元ではなく、実はただ単に資本の払い戻しになっている可能性もある。

 

さて、エーアイテイーの自社株買いはどうか。

「自己株式取得状況に関するお知らせ」によれば、1月31日までの自社株取得累計で単純計算すると平均約984円で取得していることになる。現在の株価は1,000円付近にあるから悪くないといえる。経営陣の自信が今後も反映されることを期待したい。