先日、ラグビーW杯で活躍した日本代表が丸の内でパレードを行った。その日本代表のなかに「笑わない男」として脚光を浴びた稲垣選手がいる。
笑わない人というのは、通常不愛想で付き合いにくいという印象を持たれる。プロゴルファーの渋野選手がスマイルシンデレラと称賛されたように、笑顔は人々を引き付ける。だがそれとは対照的に、全く笑顔を見せないことでかえって人を引き付けた。もちろん稲垣選手自身がラグビー選手として優れているからこそであるが、「笑わない」という希少性がその存在を際立たせた。
この希少性というのはそれが肯定的なものになると、ときに大きな武器となることがある。
私は寡黙なほうなのだが、ミーティングなどでずっと黙っていたところで発言を促されると、みんな私の言葉に耳を傾ける。あまり喋らない奴が発する言葉に注目するのだ。中身がたいした内容じゃなくてもなんとなく言葉に重みが出るのかもしれない。これも希少性がプラスに働く例だ。
株式投資においても、企業を選ぶ際に希少性というのは重要な要素だ。他の企業がしていない事業、その企業しかできない製品・サービス、その企業の持つ強力なブランドなど探せばいろいろある。
短所としか思えなかったことも、実は希少性で価値があるものかもしれない。それに気付くこと自体が希少なことかもしれないけど。
