今年初めにこんな記事を書いた。
先週、日銀は金融緩和継続を維持するということを決定したが、今度は政府が経済対策を打ち出すらしい。
その対策がどういうものになるかはわからないが、結局はバラマキのようなものになるのだろう。衆議院解散もちらついているし、選挙を意識した対策になる可能性が高い。
もしバラマキをしたとしたらかえって物価高を助長させることになるのではなかろうか。でも政府は表向きは物価高対策と称しながら、むしろ物価上昇をできるだけ放置しておきたいのかもしれない。
というのも、インフレ税という暗黙の負担を国民に押し付けることができるからだ。
インフレは借金をしている者にとってはありがたく、インフレによる購買力低下で借金の負担が軽くなる。多額の借金を抱える政府からみれば、国民から政府へ購買力が移転していることになり、これがいわゆるインフレ税というものだ。目に見えるはっきりした増税という直接的な手段より、暗黙のうちにできてしまうために国民にとってはたちが悪い。
物価上昇に賃金の上昇が追い付かず、実質賃金は減り続けている。まさにインフレによって吸い取られているというわけだ。
このことに気づき始めた人が多いのかどうかはわからないが、投資を意識する人が増えている。円安傾向が続いていることで円の購買力が落ちていることを実感し、海外の資産に目を向ける人も増えている。この傾向が続けば、強い円安圧力になり、ちょっとした金利上昇ぐらいでは円高にならないのではないか。
もう円という通貨の弱体化は加速度的に進みつつあると考えたほうがいいのかもしれない。
もしそう考える人が増えるなら、いっそうその弱体化に拍車をかけることにつながり、それこそ雪崩のように崩れていくこともありうる。
増税は誰しも嫌うものだ。だが目に見えぬインフレ税には耐えられるのだろうか。
結局積み重なったツケはどんな形であれいつかは払わないといけない時が来る。
うまい話はない。
経済はそういうふうにできている。
幸い来年から新NISAが始まる。
これが国民にとって壮大なツケ払いを軽減する逃げ道となるかもしれない。
そして、円という通貨をそのまま抱え続けるリスクを真剣に考える機会になる。