だいぶ前に、あらゆるものがコモディティ化しているということを書いた。
ふと思ったのが、労働もコモディティ化しているのではないかということだ。
長年のデフレが続き、賃金水準は一向に上昇していない。ようやく最近は賃上げムードになっているが、物価上昇によって打ち消されてしまっている状況だ。また、非正規雇用の割合が増大していることもある。
だがそれだけではないのではないか。
IT化やデジタル化が遅れているといっても、ネット環境が普及しそれが当たり前になったことで仕事のやり方もだいぶ変化している。それによって、それまではその人しかできない職人技のような仕事がそこら中にあふれていたものが、コンピューターに置き換わったことで誰でもこなせるようになった。誰でもできるということはその仕事の価値も低下することであり、結果的に賃金は上がらなくなる。こうしたことがあらゆるところで起きていて、賃金水準が上がらなかったのではないか。
そして今度はAIという新しい波が押し寄せている。
このAIがコモディティ化した労働をこなしてしまうようになるのではないか。すでにAIを優秀なアシスタントとして活用し、人を雇わなくてもやっていける事例が出てきている。
また、AIはいわゆる「ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)」もこなすことになり、今までそれをしていた大量の人々があぶれることになるかもしれない。
それで人手不足はある程度緩和される可能性もある。
どうでもいい仕事がなくなって、なくてはならない仕事に人が集まるようになる。でも労働でガンガン稼げる人は一握りで、ほとんどの人はそこそこしか稼げないようになっていくのではないか。
なくてはならない仕事ができないなら、なくてはならない仕事をする企業に投資することだ。
自分でできないことを投資という手段で賄うという発想はこれからますます大事になると思っている。