日経CNBCが個人投資家を対象に調査した岸田政権の支持率が話題になっているようだ。
調査結果によると「支持する」と答えたのがたった3.0%で、95.7%が「支持しない」という。
岸田首相がアンチ市場的な発言が多いことだからだろうが、支持率がたった3%というのは衝撃的ではなかろうか。参議院選挙控えていてこの数字を目にすればさすがにマズいと思うかもしれないが、市場には関心がないからこの結果にすら気づかないかもしれない。
そもそも市場の動向に気づかないというのが致命的なのだ。
岸田首相は市場が強くなりすぎだと感じているようだが、そうではなくてむしろ市場原理がうまく機能していないのが問題なのだ。あまりにも硬直的で流動性がない。
典型的なのは労働市場で、相変わらず解雇規制が強いために流動性がなく、賃金水準が能力と釣り合わなくなっていて働いても報われないという閉塞感が蔓延している。パワハラや長時間労働など理不尽な労働環境だったら働き手がどんどん去ってしまう一方、好待遇な職場には優秀な労働者が集まるという市場原理が作用していない。労働組合は正規社員の既得権益団体となっており、非正規社員は立場が弱いままだ。岸田首相は賃上げを要請しているが、正規社員の賃金引上げによって非正規社員の雇用が失われ、格差はもっとひどくなるのではなかろうか。
株式市場ももっと大衆化すればいい。投資単位を引き下げ、もっと気軽に投資できるようにするのだ。金融所得課税の強化といった投資家から搾り取る発想ではなく、むしろ松下幸之助が提唱した「国民総株主論」のような発想はないのだろうか。日銀が保有するETFを国民に配る構想を提唱する人もいるようなので、そういった意見に耳を傾けることこそ必要なのではないのか。
もし選挙に向けて岸田首相が投資家からの支持を得たいならば、まず自ら日本株のETFを買うことではないか。そうすることで首相として日本経済を活性化する責任を負っていることを示すことができる。
岸田内閣が公表した閣僚の資産状況によれば、岸田首相は株式などの有価証券を保有していない。なるほど、株式を保有していないのだから株式市場のことなどわかるわけもない。株式市場の時価総額が4ヶ月で100兆円吹っ飛んでもいっさい気にしないことが「新しい資本主義」ということらしい。
今後も岸田首相が市場や投資家への姿勢を変えないのであれば、できるだけ早いうちにご退場願いたいと思っている。そしてそれはあながち非現実的な願望ではないような気がしている。