経済的独立したうえでアーリーリタイアを達成しようという「FIRE」という言葉が世間にも知られるようになった。そして実際にFIREを達成した人が注目されている。
こうした考え方が最近になって注目されるのはなぜなのか。
おそらく労働、働くことについての考え方が変化しているのだろう。
かつてはより多くの収入を得るためにとにかく働くという側面が大きかった。働けば実際に収入は増えたしポストも与えられた。
だがデフレが長引き、賃金はまったく上昇せず、雇用も不安定化していくなかで、働くことの意味が揺らぎ始めた。
身体を壊すほど働いたって収入は増えない。税金や社会保障費でどんどん差し引かれていく。
何のために働くのか。
生活のため働き詰めで、こんな人生でいいのか。
これからずっと年をとっても働き続けなければいけないのか。
働くために生きているわけではない。
働くのは生きるための手段にすぎない。
するとできるだけ働かないで生活できる方法はないかを模索し始める。
そして、生活をできるだけコストをかけないようミニマム化することで、無理してまで働くことをしないようになりつつある。贅沢に無関心になり、余計な欲望を持たなくなる。
そして働くこと以外で収入を得るためのエンジンとして投資に気付き始め、資産を持つことが重要であることにも気付き始めている。働くことが必要であっても、資産を持つことで働く選択肢に幅が生まれる。
FIREという言葉が広まることで、こうした生き方もあるということが知れ渡る影響は小さくない。
ある程度の資産を築ければ、あくせく働くことから解放される。
そしてそのハードルは思ったほど高くないのだ。