小林製薬の「紅麹」が世間を騒がせている。
紅麴を使ったサプリメントを摂取した人に健康被害が生じたわけだが、健康食品によって健康被害を発生させたというのは皮肉だ。
それにしても小林製薬の対応は迅速ではなかった。
非常時にこそその組織の本質が現れる。
小林製薬といえば、商品のユニークなネーミングに特徴があり収益力も高かった。だがそれも過去のものとなるかもしれない。かつては私も投資候補に入れていたが、ここ最近の数年間は目を引くのような業績ではなく、投資対象からは外れていた。利益も配当も増加しているけれど、投資したいと思うほどではない。
株価も過去には13,000円を超える水準にあったのに、今回の件で過去最高値から約65%下落した。もっとも、数年前から株価はズルズルと下降傾向で、株式市場では小林製薬の経営力が衰退していることを暗示していたのかもしれない。それが今回で明確となった。
一度傷ついた信用を取り戻すのは容易ではない。
それに、高収益を誇っていたとしてもそれが長続きするとは限らず、次第に衰えていくことも多い。まさに栄枯盛衰だ。
長期投資というけれど、長期間になればなるほどこの栄枯盛衰に直面することになり、投資成績にも影響してくる。だからこそ投資対象の吟味が必要なのだ。長期保有に値するものを見つけないといけない。長期的に衰えていないからこそ保有し続けることができるのであり、結果として長期投資となるのだ。単純に長期間保有すればいいわけではない。長期間保有することができるものを見つけられるかにかかっている。
今回の件でそれを再認識した。