台湾のTSMCが熊本に第2工場を設けるらしい。
この背景にあるのは経済安全保障だ。半導体は重要な戦略的物資となり、その供給網を確保するため生産地を世界各地に分散させる一環で日本が選ばれている。米中対立が激しくなり、さらに台湾問題が絡んでいることで、日本の位置づけが相対的に上昇しているわけだ。
この半導体工場誘致でかなりの経済効果が見込まれる。とくに九州はすでにその影響が表れているようだ。これが日本経済を成長させるとなれば、当然に株式市場にとっても良い影響が及び、日本株の魅力を高めることになる。
さらに、日本に訪れる外国人観光客が、日本の良さに気づき始めているような気がする。清潔な街、治安の良さ、食べ物の美味しさ、物価の安さに驚いている外国人も多いようだ。アニメやゲームの文化が日本を知るきっかけとなっていることも大きい。
こうした影響は、外国人観光客のみならず外国人投資家にも波及し、日本は物価が安いだけでなく株式市場でも株が安いということで海外勢が日本株を買っている。
そして世界を見渡せば、比較的安定しているのは日本だ。
アメリカは大統領選挙を控えて分断が目立ち混乱寸前といってもいい。中国は経済低迷が深刻で、国内に不満が溜まっている。ロシアとウクライナの戦争は相変わらず続いており、ヨーロッパ諸国はウクライナ支援で経済的に苦しんでいる。さらにイスラエルとパレスチナのハマスの間でも紛争が止まらず、中東の情勢も不安定となっている。グローバルサウスと呼ばれる諸国の存在感が増しているが、混乱に乗じて漁夫の利を得ようと行動している。
すると相対的に日本の存在が浮かび上がるわけだ。
むろん日本にも問題はある。北朝鮮がミサイルを連発しているし、台湾有事も想定される。政府は巨額の財政赤字で、異次元の金融緩和から抜け出せていない。
それでも日本が変化しつつあり、日本に眠っているポテンシャルを外国人は感じ取っているのかもしれない。
日本人は日本のことを卑下しがちで、自分たちのことを案外わかっていない。かといって自画自賛しすぎてはいけないけど、外国人が日本をどう見ているかをじっくり観察することは、投資にも役立つだろう。