投資狂日記

自由を追求するブログ

今年は「PBR」より「資本コスト」に注目か

2023年は東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」という要請を行った。そのなかでPBR(株価純資産倍率)に言及があり、低PBRを改善することが大きなテーマとなった。

 

だがPBRの改善というのは局所的なものでしかない。あくまで「資本コストや株価を意識した経営」を求めているのであって、裏を返せば多くの企業は今まで投資家の期待に応えてこなかったといっていい。配当や自社株買いが増えたとしてもまだまだ投資家の期待に届いていない企業は多い。

投資家の期待とそれを認識する企業側にギャップがあり、それが資本効率に対する認識の違いに表れている。

 

そこで今後は「資本コスト」が注目されるのではないか。

資本コストとは投資家がリスクに応じて企業に期待するリターンだ。

理屈ではROE>資本コストならば企業価値を増加させ、ROE<資本コストならば企業価値を減少させることになる。

もし、ROEが資本コストの2倍ならばPBRが2倍であることは妥当で割高とは限らず、ROEが資本コストの半分でしかなかったらPBRが0.5でも安いとは言えず妥当な水準ともいえるわけだ。

だからPBRが1倍割れだからといって必ずしも割安とは限らず、ROEが低く資本コストを上回れないと企業価値はどんどん棄損していくことになり、そんな企業に投資していても成果は得られない。

 

じゃあ資本コストはどう把握するのか。

理論的にはCAPMというのが有名だが、それも完全なものではない。結局は推定するしかない。だからこそ投資家と企業で認識にギャップが生まれるわけだ。

 

であるならそのギャップが少ないと思われるような企業、そしてROEが高く資本コストが低い企業を選ぶことだ。

資本コストは企業の事業リスクの裏返しでもある。毎年利益のブレが大きければリスクが高く投資家が要求する資本コストも高くなる。

 

今年は「資本コストや株価を意識した経営」をする企業に注目したい。