会社四季報の最新版を今読んでいる。
するとコメントに「継続前提に重要事象」や「疑義注記」といった記載が結構目に付く。
「継続前提に重要事象」とは、決算書に「継続企業の前提に関する重要事象等」記載がある企業で、「疑義注記」は「継続企業の前提に関する注記」の記載がある企業をいう。こうした記載がある企業は存続が危うい、平たく言えば経営状態が厳しいことを表していて、「疑義注記」のほうが深刻度が高い。
企業は半永久的に継続するという前提のもとに活動していて、会計ではそれを継続企業の公準という。半永久的に活動する前提だからこそ会計期間を区切る必要があり、期間ごとの会計報告が求められることになる。だが、継続する前提が崩れれば、会計上の費用配分や見積もりの妥当性にも影響が出て会計数値への信頼性も揺らいでくることから、決算書の注記に記載し注意喚起するわけだ。
こうした記載のある企業の特徴はどんなものだろうか。
事業内容そのものが定まっておらず迷走している、
競合他社との競争についていけない、
事業を一気に拡大したものの売り上げが伸びず資金繰り難となる、
など様々な要因がある。
そんななかで驚くのは、上場して間もない企業にも継続前提に疑義があることだ。もちろん将来性が期待されるから赤字でも上場することはあり、その後うまくいかなければ経営危機に陥ることは十分ありうることだ。
でも、そもそも上場を維持できるほどその事業に対する需要があるのか疑問に思える企業もある。もし、その事業への需要拡大があまり見込めないようなものならば、上場して規模の拡大を目指さず、適切なサイズで経営していれば継続できていたかもしれない。
個別株投資で銘柄を選ぶ際に、その企業が行う事業の需要はどれくらいの規模まで拡大しうるのか考えることは重要だと思っている。日本では人口が減っている以上、ただでさえ需要減少の圧力がかかる。そこで、海外へ進出することが可能な事業かどうかとか、絶対的な人口減少のなかでも相対的に高齢者が増加することで需要拡大が見込めるとか、何かしら需要拡大の余地がないといずれ厳しくなる可能性がある。
すでに継続前提に疑義のある企業への投資は避けることが賢明だが、これから疑義が生まれる可能性を秘めた企業にも気を付けないといけない。