後悔したくないと誰もが思う。死ぬ直前に「もっとああしておけばよかった。」と後悔するようにはなりたくない。
でも日常の忙しさに紛れて多くの時間を費やしてしまう。
周りに流されて漫然と過ごしてしまう。
それは自分の死なんて遠い未来のことだと思っているからだ。
でも、もし自分が数か月後にこの世を去らねばならないとしたらどうするだろう。
死に立ち会ってきた医師が書いたこの本を読むと、そういうことを考えさせる。
この本のなかに、3歳の愛娘を置いて逝かねばならない母親のエピソードがある。
母親である自分がもうすぐ病気で死んでいなくなってしまうことを自分の言葉で娘に伝えるくだりは非常に切なくて悲しみを誘う。
どう生きるかを考えることは、どういう死を迎えるかを考えることでもある。
「正直、うまくいかないのがデフォルトなのが人生です。」と著者は言う。
それでもなお後悔しないためにどうするか。
自由になることを考えにくい状況から、少しだけでも自由になってみること。
心だけでも自由になってみること。
生き方を見つめなおすきっかけになりうる一冊といっていいと思う。