投資狂日記

自由を追求するブログ

侮れない企業風土

先日、政府が日産とホンダを経営統合させようとしていたという報道があった。この案が出されたのは新型コロナが発生する前だったというが、この報道を目にしたとき机上の空論というのはまさにこういうことだなと思った。

 

日産はカルロス・ゴーンの事件もあって経営不振に陥り、ホンダも業績は冴えない。自動車産業は大きな変化が訪れることが予想されていて、競争に打ち勝つためには企業再編が不可欠と政府関係者は考えたのだろう。

企業は法人であり自然人とは異なるから合併などでくっついて一つになったりすることはできる。だがそこにはたくさんの人々がいて、それぞれの組織には異なる風土や文化が存在する。そして人と同じように企業にも相性というのはある。日産とホンダはまさに企業風土からみて相性がいいとはとても思えない。

 

ホンダはかつて自動車産業に参入しようとするとき政府が大きな壁となって立ちはだかった。それを打破しようとする本田宗一郎の反骨心とそれを受け継ぐ企業風土があったからこそ今のホンダがある。業績が厳しいといっても二輪車は世界トップだし、ホンダジェットといった航空分野も将来性は感じられる。

日産はかつて経営危機に陥ったときカルロス・ゴーンをトップに据えて改革を断行した。それはうまくいった面もあるが、結局は経営陣が内紛を起こし再び業績不振に陥った。一連の騒動には社内の権力闘争が見え隠れし、ルノーとの関係もあってガバナンスに問題ある企業というイメージがついてしまった。そういう内紛が起きるような企業風土がもともとあるのかもしれない。

 

M&Aもそうだが投資も同様に財務などの数字だけで見ていると判断を誤るということだ。現代の企業は有形の資産よりもむしろ無形の資産が重要性を増していて、その無形の資産は企業風土や文化から影響を受けているのではなかろうか。

 

先週、テレビ東京の「カンブリア宮殿」で星野リゾートを取り上げていたが、星野社長は新型コロナで経営に打撃を受けたことにより倒産確率が38.5%であることを社員に告げたという。この数字に社員は驚いたであろうが同時に覚悟を持ったに違いない。先行きが見えないからこそあえて見えるように情報を出したことによって、かえって社員が一致団結したという。これは星野社長のリーダーシップというのもあるが、企業風土も少なからず影響しているのではないかと思う。

 

企業風土がもたらす影響というのは思ったよりも大きいのかもしれない。いい方向へ向かう原動力にもなりうるし、逆に衰退に向かわせる力にもなるのだ。