先日、自宅の電話に証券会社から電話があったと妻に言われた。つみたてNISAの勧誘だったらしい。私の携帯電話にも数回かかってきたことがある。どうやら証券会社はつみたてNISAで顧客獲得に躍起になっているようだ。
つみたてNISAの口座数は実際に増加しているようで、とくに20代から30代の若年層が多いようだ。長期的な視点で資産形成を促すため税制でもメリットを設けていることもあり、制度的には優れているのだろう。
さて、ここではつみたてNISAそのものについてはともかく、こういった制度が導入された背景はなんなのかを考えてみた。
穿った見方をすれば、こういう積立投資を普及させ資産形成を促そうとするのは、やはり将来の年金など社会保障が行き詰まることを想定しているのではないかということだ。国ではもう面倒をみることはできないので自分で何とかしてくださいというわけだ。そのために税制面では優遇してそちらへ誘導する。
年金などの社会保障については多くの人が内心大丈夫なのか不安に思っている。とくに若年層はそうだろう。つみたてNISAが若年層に普及しているのは、そういう若年層の漠然とした不安感と社会保障の負担を減らしたい国の意向がうまくマッチしているからなのかもしれない。
証券会社は高齢者主体の顧客層から若年層の取り込みを積極的に行おうとしている。つみたてNISA自体はコストの安い投資信託などで厳選されているため証券会社にとってそれほどうまみはない。それでも少子化を考えると今から若年層を顧客として取り込んでおかないと将来の成長がおぼつかなくなるという危機感があるのではないか。
それぞれの主体にはそれぞれの思惑がある。
ほとんど妄想かもしれないけれど。