子供のころ、こんなことを考えていたことがある。
自分が見ている「赤」という色は、他の人にとっても同じように赤く見えているのか。
何を言っているんだと思うかもしれない。
つまり、自分にとって「赤」に見えるものが、他人には「青」に見えていて、それが他人にとっての「赤」になっているなんてことはないのか、と。
もしそうならば、他人は自分とは違う色の体系で世界を見ていることになる。でもそれを知ることはできない。赤いリンゴを見たら誰もが「赤い」というが、その「赤」が誰でも同じなのかどうか知る術がないのだ。
でもこういう思考をすることは投資において案外大事なことなのではないかと思っている。
株式を買おうと思っているときに、一方で売ろうと思っている投資家がいる。逆に売ろうとしているときに買おうとする投資家がいる。しかも買いたい価格、売りたい価格も違う。そして買い手と売り手の価格が一致したところで取引が成立するが、両者の思惑はおそらく違っている。当たり前だけど、よくよく考えてみれば面白い現象だ。
ある株式について買いたいと思っているとき、逆に売りたいと思っている投資家は何を考えているのか気になるものだ。
自分の知らない情報を持っているのか。逆に自分が情報を見落としているのか。
あるいは相手が間違っているのか、それとも自分が勘違いしているのか。
なぜその値段で売ろうとしているのか。自分が買おうとしている価格は妥当なのか。
投資をしていると、相手が見ている世界で考えてみる癖がつく。
自分と正反対の行動をしているということは、相手の見えている世界が違っている可能性がある。こう考えることで独りよがりになっていないか気づくきっかけになる。
投資はお金儲けのためと思われているが、多様な見方をすることで視野を広げる効用があるように思える。
むしろお金儲けより大事なことかもしれない。