昨日、日銀は金融政策決定会合で長短金利操作(YCC)の再修正を決めた。そしてこれから米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えている。インフレが進む世界での金融政策が注目され、中央銀行総裁の言葉一つ一つからその意図を読み取ろうと躍起になっている。
こうした状況は、金融緩和政策の出口戦略がいかに難しいかを物語っている。量的緩和政策の実施については盛んに議論されたが、その解除をどうするかについては全く論じられていなかった。その危うさは金融緩和政策実施段階ですでに指摘されていた。
2012年12月にダラス連邦準備銀行のリチャード・フィッシャー総裁はこう述べていた。
「我々はホテルカリフォルニア的金融政策のリスクに瀕している。理論的には我々は好きな時にチェックアウトできることになっているが、実際はこの状況から抜け出すことはできないかもしれない」
イーグルスの名曲「ホテル・カリフォルニア」の歌詞にある「You can checkout any time you like, but you can never leave!(好きなときにチェックアウトできるが、決して立ち去ることは出来ない)」を引用した発言で注目された。
日銀はアメリカのインフレや金融引き締めがピークアウトすることを望み、金融緩和の出口へ向かうどころかむしろずっと安住し続けることを願っていたいようにみえる。長期金利については市場メカニズムに委ねるというのが大原則だが、日銀だけがYCCという手法で長期金利に手を出して手放すことができないでいる。それはホテル・カリフォルニアにいつまでも安住していたいという意識の表れではないのか。そういう意味でまさに「立ち去ることは出来ない」状態なわけだ。
円安はさらに進んでいる。もし今後キャピタルフライトが加速して円の信用が崩れたときどうなるか。
好きなときにチェックアウトできるはずだったのが、突然強制的に追い出されることになるかもしれない。
その時、どこに向かうことになるのだろう。