最近の日経平均株価の動きから、チャート上では「ミニデッドクロス」や「ダブルトップ」などといった下落サインが点灯しているらしい。マーケットアナリストやテクニカルアナリストといったカタカナの肩書を持った人たちの見解が新聞記事などに掲載されている。
私はチャートの動きをみて株式を売買したりはしない。テクニカル分析は一切しないし、そうした知識を身に着けたところであまり意味はないと考えている。
というのも、株価チャートというのは過去の株価の動きを示したものであって、それ以上でも以下でもないからだ。
そもそも株価はなぜ動くか突き詰めて考えてみればいい。
株価は様々な要因、例えば金利や為替の変動、国際情勢の変化、自然災害などから動く。それはそうした要因が企業の業績に影響を与え、企業価値に変化が生じると人々が考えることによって株価が動くのだ。
チャート上で下落サインが出ているとしても、もし、明日「ロシアがウクライナから撤退」というニュースが突然流れたとしたらどうなるか。世界の大きな不安要因の一つが除かれて企業業績にプラスとなれば株価は急騰するかもしれない。そのとき、チャート上の下落サインというのは何の意味があるのだろう。
株価の動きは株価チャートの形から起きるのではなく、株式を発行している企業に変化が起きるかどうかだ。
では、チャートの動きから株価を予想することとは何なのか。
それは占いと同じだ。
昔、「亀卜(きぼく)」という占いがあった。亀の甲羅を焼いて、現れた割れ目を見て吉凶を占うのだ。甲羅の割れ目に何らかの意味を見出すこととテクニカル分析というのは似ている。
だからマーケットアナリストやテクニカルアナリストというのは占い師でもあるのだ。
私は占いを信じていない。甲羅の割れ目に意味があるとは思えない。
でも占いを信じたいのであれば信じればいい。
ただ、占いを信じたからといってそれで投資が上手くいくとは限らない。投資の占い師は投資で儲けているのではなく占いによって収入を得ている。
占いを信じたり、占いの知識をたくさん詰め込んだところで物事の本質へ近づくことはできない。そしてそれに頼っている限りいつまでたっても上手く行くことはないだろうと私は思っている。