投資狂日記

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信託型ストックオプションの「給与」扱いに思うこと

信託型とよばれるストックオプション(株式購入権)について、国税庁は税率が最大55%になるとの見解を示した。企業側は権利を行使して得た株式の売却に対して20%の税金がかかると認識していたため、国税庁の出した見解に困惑しているという。

 

国税庁としては制度の抜け道をふさぐ狙いなのだろう。日本の税制の理不尽なのは、このような後出しジャンケンみたいなことがまかり通ることだ。法律の明文化ではなく、税務当局側の解釈があたかも絶対的であるかような状況をつくり、それを押し付ける。

 

そうした税務当局の解釈に対して反論し、裁判になって税務当局の解釈が覆されることもある。だが、そういう例はまだ少ない。

 

やはり立法の段階が重要なのだろう。

そもそもストックオプションの制度が設けられた趣旨はなんなのか。

ストックオプションは、資金力が乏しいスタートアップ企業が働き手に現金による給与で報いることが困難であるため株式報酬によって人材獲得を図ろうとするものだ。

税務当局からすれば、働き手への報酬が現金から株式になっただけだから「給与」だと解釈するのだろう。

でも制度の趣旨は、スタートアップ企業に人材を惹きつけ経済を活性化させることにある。ここでストックオプションを給与扱いとしてしまっては、その趣旨が弱まってしまうのではないのか。実際、日本のスタートアップ企業の育成は弱いままだ。

 

信託型のストックオプションが登場したのも、既存の制度が使いにくいからだ。既存の制度を整備することをせず、解釈によって道を塞ぐようなことをしている限り、経済はますます弱体化していくだろう。そしてそれは巡り巡って税収を落ち込ませ、結局は増税となって跳ね返ってくる。

 

岸田政権は「新しい資本主義」なるものを掲げ、未来の日本経済を牽引するようなスタートアップ企業の育成を掲げていたはずだが、この信託型ストックオプションに関する国税庁の見解をどう思っているのだろう。