投資狂日記

自由を追求するブログ

税制の将来

所得税の確定申告シーズンが始まった。

私自身は所得税の確定申告は必要ないが、私が運営している法人が12月決算のため2月末までに法人税の確定申告をしなければならない。面倒くさくてなかなかとりかかろうとする意欲が湧かない。

 

今年も国税庁がタレントを起用してe-TAXの利用を呼び掛けている。紙で申告書を作成していた頃よりも楽になったことは確かだ。だが、相変わらず申告書の仕組みは複雑なままだ。

電子化して効率化を図ろうとしても、今度はインボイス制度が待っている。効率化に向けてアクセルを踏んでいる一方で、事務作業を増やすブレーキをかけるという役所の得意技だ。

 

それはさておき、物価が上昇し始めている今、税金についても敏感にならざるを得ない。

将来の税負担が増えることを想像してしまうが、その場合、税制はどう変化していくだろうか。

消費税の増税法人税増税、あるいは酒税やたばこ税なども話題になるが、私が一番気になっているのは相続税だ。

 

相続税は、亡くなった親などから、お金や土地などの財産を受け継いだ(相続した)場合に、その受け取った財産にかかる。とはいえ実際に相続税が課税されるのは多額の相続財産がある場合に限られていて、ほとんどの庶民には関係ないといってもいい。実際、私の父が亡くなったときも相続財産はあったが相続税はかからなかった。

 

だが、今後はそういうわけにもいかないかもしれない。なにしろ相続税は「資産」にかかる税金だ。経済格差を縮めるために、所得税累進課税のみならず、保有資産への課税へと向かうことは十分ありうる。とはいえ生きているうちに保有資産を捕捉するのは税務当局も難しいため、相続のタイミングで課税を強化するわけだ。しかも資産は高齢者層に偏っていることも課税を正当化する根拠になりうる。実際に税制改正相続税の課税対象が広げられてきているし、今後もさらに広がるかもしれない。

 

確かに経済格差是正という観点から相続税の課税強化というのは筋が通っているように思える。ただ、資産というのは、所得税を差し引かれた後に残った収入から蓄積したものでもあって、それに課税するということは二重課税ではないのかという見方もあるのも確かだ。こういう観点から、そもそも相続税がない国もある。逆に相続税がなかったら、資産を有する者はそれを相続によって引き継いでいき、将来にわたって経済格差が固定されてかえって社会が不安定になるかもしれない。

 

税制というのは難しい。

日本においては、国民は税金を嫌い、政治家はそういう国民に忖度し、税金は取れるところから取るという発想になっていて、目指すべき国の姿とそのためにどういう税制にするのかという発想はないに等しい。

 

誰が言ったか忘れてしまったが、今でも覚えている言葉がある。

「税を語るは国家を語ることなり」

 

税のことを考えたくない国民なら、今の日本という国はそういう意思を反映しているのだろう。