累進課税は、高所得者に高い税率を課し、低所得者には低い税率を低くすることで富の再配分を実現しようとするものだ。負担能力に応じたものになり格差を生み出しにくいとされることから採用されている。
岸田政権はこの累進性を強化する方向にあり、今月行われる立憲民主党代表選挙の各候補者も累進強化を訴えている。
この累進課税強化は当然のような雰囲気が何とも気味悪い。
経済格差の問題が社会にとって重要であることに異論はない。だが、その対策として誰もかれもが累進課税強化を訴えているが、本当に累進課税強化はいい方法なのだろうか。
格差を縮めるために累進課税を強化しようとする一方で、何か大切なことを失っていないだろうか。
累進課税では頑張って収入を増やしてもどんどん税金が高くなり、手取りは増えにくくなる。税金で持っていかれてしまうなら働いてもしょうがないとなって、本来ならもっと働いて収入を増やせるはずなのに働くことをあきらめてしまう。
累進性は意欲のある人の行動を阻害する。こうしたことが生産性や効率性を低下させ、経済成長を鈍らせることになっているのではないのか。
日本ではどうも他人の足を引っ張ることばかりに気が向いているとしか思えない。頑張ったら待っているのが罰ゲームだとしたら、バカバカしくて誰も参加しなくなるだろう。
稼げる人にはたくさん稼いでもらったほうがいい。頑張ったら報われるというのはそういうことではないのか。そのほうが経済が活性化するし、結果として税収も増えることにつながる。格差や貧困の対策は税制とは別に制度を整えればいい。
きっと足の引っ張り合いをしているうちに、誰も稼ごうとせず、他人から奪おうとする者ばかりが増えるだろう。
結局誰も豊かになれず、みんなが貧しくなっていく。
今、日本が進んでいるのはそういう道なのかもしれない。