今年はどんな年だったか。
大きな転換点となる年だったのではなかろうか。それを感じさせる出来事が2つあった。
一つは、世界的にインフレ傾向になり金融緩和から引き締めへ転換したことだ。先進国では唯一、日本が金融緩和を続けていたものの、年末になってついに方針転換した。金融引き締めにより株価は下落したが、いまだにインフレは収まっていない。インフレを抑えるための利上げが続き、景気悪化をも招く懸念が出てきている。
もう一つは、ロシアによるウクライナ侵攻によって世界秩序が大きく揺らぎ始めたことだ。民主主義に懐疑的な見方が広まり権威主義的な国の勢いが増して対立が激しくなっている。また、民主主義国の内部でさえも対立が鮮明になっていて分断を引き起こしている。では権威主義的な国が上手く行っているのかというとそうでもない。見えないところで不満は溜まっており、時々それが吹き上がるが無理矢理抑え込んでいる。
これらのことは、突き詰めると経済の変調に辿り着くのではないか。
長く続いた金融緩和は、言い換えれば貨幣価値が潜在的に低下し続けたことでもあり、それがインフレという形になって一気に顕在化した。
また、溢れたマネーが偏在することによって経済格差が広がり、ごく少数の富裕層と多数の貧困層を生み出したことで分断が起きるようになった。これが政治に反映されてポピュリズムが台頭し、極端で過激な主張をする政治家が現れるようになった。民主主義の弱体化も権威主義的な国の勢いが増しているのも経済がおかしくなったからだ。
こうした傾向は今年以前からも垣間見えていたが、今年はより一層はっきりしたということだろう。
来年はどうなるだろうか。
様々な予想がでてくるだろうが、あまり当てにはならない。
昨年の今頃、ロシアがウクライナに侵攻するなどとは誰も思っていなかった。専門家の株価予想なんてものもほとんど意味がない。
ただ、この先どうなるか自分なりに考え続けることは必要だと思う。良いことも悪いこともいろいろ考えてシミュレーションしてみるのだ。
それでも現実は想像以上のことが起きる。
来年はそんなことが起きないことを祈りたい。