衆院選を前に各政党が選挙公約を打ち出しているが、その中に税制にかかわることも多く含まれている。消費税減税とか金融所得課税強化とか、「分配」がキーワードとなっているだけに税制に着目するのも当然なのだろう。
私も税制には思うところがあって、ついつい妄想を膨らませてしまう。
国税庁のホームページには「税の三原則」というのが掲載されていて、税は「公平」「中立」「簡素」であるべきとされる。
「公平の原則」とは、経済力が同等の人に等しい負担を求めることや、経済力に応じた負担を求めることだ。
「中立の原則」とは、税制が個人や企業の経済活動における選択を歪めないことだ。
「簡素の原則」とは、税制の仕組みをできるだけ簡素にし、理解しやすいものにすることだ。
だが今の税制はこの三原則を満たしているのだろうか。
累進課税は公平の原則から取り入れられていると考えられるが、これは本当に公平なのだろうか。所得が多い人ほど税負担が多くなるとしても、働く意欲を削ぐほど負担が重いのは公平といえるのだろうか。もっと働けるにもかかわらず、配偶者控除による103万円の壁によって所得を増やすことを躊躇してしまうのは、中立の原則に反しているのではないのか。税制が複雑すぎて税法の条文を読んですぐに理解できる人がどれくらいいるだろうか。
税制はもっと単純でいい。
例えば、所得税はあらゆる所得に10%課税としてしまうとか。10%が適切かはともかく、誰でも給与所得だろうが配当所得だろうがすべて一定の税率で課税するのだ。所得税を負担していなかった人にも負担が生じることになるが、所得が増えても税率が一定なためそれだけ手取りも増えるし、所得を増やすモチベーションが削がれることもない。何より単純明快で中学生でも理解できるし、電子申告もスムーズになり税務署職員を削減できて徴税コストも下がる。
低所得者に対する配慮をするなら税制以外の制度を充実させればいい。税制によってあれこれ調整しようとするからどんどん複雑怪奇になってしまうのだ。
だがこんなことにはならないだろう。
あくまで頭の中での妄想にすぎない。
またなんらかの税制改正があって、それにどう対応するか頭を悩ませることになるのだろう。