投資狂日記

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ソーシャルレンディングへの素朴な疑問

金融庁がSBIホールディングスの子会社であるSBIソーシャルレンディングに対し、金融商品取引法に基づく業務停止命令を出すようだ。内部管理体制がずさんで多数の投資家に損失を与えたことを重く見たという。そしてSBIソーシャルレンディングは事業から撤退することにしたらしい。

 

ソーシャルレンディングというのは、貸付型クラウドファンディングとも言われ、お金を借りたい事業者と貸したい個人をインターネット上でマッチングさせるサービスだ。これまでになかった資金調達方法であるとともに、新たな投資対象でもあることで注目を集めている。

 

このソーシャルレンディングに対しては素朴な疑問がある。クラウドファンディングには興味があるが、この貸付型についてはその疑問がつきまとって手を出そうとは思わない。

その疑問とは、事業者はなぜこのソーシャルレンディングという資金調達方法を選んだのかということだ。資金調達にはコストがかかるが、当然ながらソーシャルレンディングでは投資家に決まった利息を支払わねばならない。コストを考えれば銀行から融資を受けた方が有利のはずだ。現在は異次元の金融緩和によって低金利が続いているわけで、より低コストで資金調達すれば事業者の利益も大きくなる。それなのになぜわざわざ個人から高い利息で資金調達するのか。

要は銀行の融資を受けられなかったということだ。銀行の融資を受けたくても融資の審査を通らないような案件だった可能性がある。銀行の審査を通らなかった案件がすべて悪いわけではない。ベンチャー企業ではよくあることだ。だからそういうときは株式発行という形で投資家にリスクをとってもらうのだ。でも貸付となると話は違う。貸した資金は返済してもらわないといけない。そして返済リスクに見合った利息を設定しないと資金が集まらないので比較的高い利息が明示されることになる。

 

だが、SBIという大手企業の子会社ということで大丈夫だろうと思ってしまった投資家も多いのではないか。大手企業ならば内部管理体制はしっかりしているという前提によって、そこに掲載されている貸付案件のリスクが低く感じられてしまったとはいえないのか。

そして資金調達をしようとする事業者もその甘さに付け込もうとしたのではないのか。ほとんどは安全な案件のなかに質の低い案件を紛れ込ませ、個人から不当に資金を引き出そうとしたとは考えられないか。詐欺師の手口というのは最初の数回を成功させて信用をつくり、その後に大きな罠を仕掛けるものだ。

 

ソーシャルレンディングの利回りが5%程度だとしても、果たしてそれがリスクに見合ったものなのか。本来ならもっと高くてもいいのかもしれない。そのあたりの判断に難しさがある。

それだったら利回りは下がるけどREITを買ったほうがはるかにいい。